マイケルアレフのことばの不思議な世界

ことばの認識の欠如と思い込みが作り出す人間の恐ろしさ

具体例
1. ナチスドイツでの強制収容所
2. 障害者施設で起きた入所者19人の殺害事件から学ぶ
3. 人間の恐ろしさ (2024年2月に書いた記録より)


具体例 1: ナチスドイツの強制収容所

人の認識は感情と思考により作られる。感情により思い込みが作られると、思い込みはそれが正しいと信じることにより大きな力を得る。それは敵を作り、戦争を始めさせ、人々の命を奪ってきた。
第二次世界大戦では軍人と民間人およそ8千万人、当時の世界の人口の2.5%以上が被害者となった。

ナチスドイツによるユダヤ人虐殺では子供、母親を含む罪の無い約6百万の人間が組織的に殺された。アウシュヴィッツ強制収容所だけで110万人が殺された。

その理由はナチの下で、ユダヤ人を不幸や災厄の原因として忌み嫌い、人々がそう信じて行動したことによる。

忌み嫌うよう感情が刺激されると、人間の感情は思い込みにより敵を作り、思い込みはそれを正義の名の下に正当化し、敵を殺すことは正しいことだと信じるようになる。
そして無抵抗の、罪のない、子供や母親を含む人間を殺すことができるようになる。

ナチスによる人間の大量殺戮を非人間的と思うだろうか。
しかし、そう思う限り、人間のことを間違って理解していることになる。
それでは今後も同じことが起きることを許すことになる。

ナチスドイツだけが特別なのではない。
人間の大虐殺は世界の様々な国や地域で起きてきた。
これこそ正に人間のあからさまな姿、現実であると理解することが必要である。

人間は善人ではない。しかし、天使にも、悪魔にも、神様にもなり得ることを示している。

思い込みは、感情に刺激され、恐ろしい人間を作り出す。

戦争を始める前に、人間の持つ感情による悲惨な結果をもたらす思い込みを阻止しなければならない。それは今、人間としての自分の在り方を見直すことでもある。

戦争だけではない。法律を破り、人を殺害するまでに至るまでには、感情により思い込みが作られ、思い込みは勝手な理由を作り、行動の制御がきかなくなる状態を作り出す。

犯罪を起こす前に、起きる前に阻止することが必要である。助けが必要な人はすぐに助けを求めなければならない。なぜなら、犯罪は起こしてしまってからでは、後悔しても取り消すことができないからだ。

日本でも太平洋戦争中、鬼畜米英ということばが作られ、アメリカ人、イギリス人を非人道的な扱いをする鬼のような存在だと教えられ、騙され、恐ろしい存在だと信じていた。
戦後日本に来たアメリカ人の多くは、日本人を人間として扱う紳士的態度を示した。
このギャップはなぜ起きたのか。
情報の扱い方により、当時の日本人の間に鬼畜米英という思い込みが浸透し、そう信じていたからである。


シリーズ26の2.人類の愚かさは人間の持つ優越感に 以下のように書いた。

「優越感は人間が利己的なる原因、争い、戦争の原因、高慢になる原因、偏見、思い込み等の原因である。」

優越感は今も大衆の中に浸透して大きな影響を与えている。
戦争は起きないと思っているならそれは大きな誤りである。
現実を認識すること、人間の実体を認識することが必要がある。

世界では今も覇権争いが続いている。

「地球上の全ての生命が絶滅するほどの核兵器を持ちながら、なお強い国を目指すことの意味はどこにあるのか? 強いことは優越感を持つことに過ぎず、優越感は破滅に至る自己満足に過ぎない。

人間は、高度な知能を持つ知的生命体であり、奇跡を越えた素晴らしい存在である。その存在を惨めなものにしているのは、自分たち人類の愚かさにある。」

愚かさは人間の優越感にある。
人間としての自分の在り方を見直すことが求められている。


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具体例 2
: 障害者施設で起きた入所者19人の殺害事件から学ぶ

2016年障害者施設で入所者19人の殺害事件が起きた。報道によると犯人である元職員は「意思疎通ができない障害者は殺した方がよい」と考えていた。

この事件でも明らかに思えるのは、ことば(単語)の理解に偏った認識があることである。

言い分として「意思の疎通ができない障害者」と言っても、
当人はことばの働きがわかっていない。意思の疎通の意味がわかっていない。意思の疎通ができていない。障害者の意味がわかっていない。一人ひとり違うのに同じだと決めつけている。

人間の意味、命の意味、人を殺すとは何かがわかっていない。

問題なのは、わかっていないのにわかったつもりでいることである。
人間はすべて「わかっていないのにわかったつもりでいる」という同じ傾向を持っている。

元職員は学校で情報を得ていたかもしれないが、そこから学習していない。
ことば(単語)の意味を感情的に自分勝手に解釈し、作り、、決めつけ、それを正しいと思い込んでいる。これが問題の根底にある。感情が思考を支配している。

正義のように思い、正しいことをしたと思っていた。

それは戦争で正義の名の下に、相手に原因があるかのように感情が刺激され、相手は敵であり、敵を殺すことは良いことだと信じるようになることと同じであるように思える。

正義感がなければこれだけの無防備な人を殺すことはできないだろう。

このことは、教育が十分機能していないことが背景にあるように思える。
家庭で、学校で、友人関係で、社会で、元職員は何を学習してきたのだろうか。

社会では、利益追求により、偏った価値観が思い込みとなって大衆のなかに浸透している。その思い込みの多くは実体のない人間の考えである。人間の優越感、好戦的な性質を利用して映画やゲームを作り、利益追求することは、結果として人間社会に返ってくる。

学習を通して、ことばの意味、理解を得ることにより、人間の社会を維持していくために必要な認識を作れるか? そのための人間の社会の在り方が問われている。


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人間の恐ろしさ (2024年2月の記録から)

人間は作られる価値観により優しい人間にも、極悪非道な人間にもなる。良い人、悪い人という決まった形の人間がいるのではない。どちらにもなれるのが人間である。人は時と共に変わり続けている。

人間にとって重要なことは、人間は思い込めば誰でもそうなり得る、という自覚を持つことである
子供には、人間としてのあるべき姿、模範を示す必要がある。
それは人間が人間の社会を作っている理由を学び、自発的に責任を負うためである。
子供に模範を示せない現状は、人類の未来がさらに不安定になることを意味する。

戦争では人間の考えにより、自分達が殺られるから、戦わねばならない。事前に武器を用意し、殺られる前に敵を倒せなどと考える。全世界で膨大な防衛予算が組まれ、世界中で戦争が起き、子供を含むたくさんの人が殺されている。

しかし、同じ人間の考えであっても、良心的兵役拒否をする人もいる。
高度な知能を持つ人間の中に、人類に対する誠実な思いを持つ人がいて、人を殺すより自分の死、尊厳死、安楽死を選びたいと考える人がいてもおかしくはない。人間の世界であっても、人間であるために、望ましい価値観はあると考えられる。

在るがままの大自然の世界に良い悪いはない。善悪はない。
人間はそれが人間の世界にあると思い込んでいる。そこに大きな間違いがある。
その価値観は人間独自のもので、人間が作り、人間の世界でしか通用しない。

人間の世界で通用すればそれで良いのではないか?

そう考える人が多いために、戦争はなくならない。
人間の世界は間違いだらけであるからだ。それに気づかず放って置いた結果が現在である。

人類を滅亡させるに足る核兵器を作り、貯蔵し、更に強い兵器の開発にあけくれている。人類絶滅の危機である。
人類が自分達の歩みを修正できなかった結果である。

これが利益を追い求め、疑問にも思わない現状が、現在人類が置かれている姿である。人間は皆、人間であることの意義を忘れ、気づかないほど、考えの無い、恐ろしい存在になってしまったのかもしれない?