Simple Truths will correct the human beliefs
by Michael Aleph

比較することの問題?  命は食べ物にまさる

マタイ 6:25 それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。

何を食べようか、何を飲もうかと考えることは、必ずしも自分の命のことで思い煩っているからではない。思い煩う必要もない。飲食は家族や友人など皆で一緒に楽しむためにもある。何を着ようかと考えることは、思い煩うことではなく、着るものを楽しむためでもある。
当時は貧しかったため、生きて行くために絶えず思い煩わなければならない事情があったとも考えられる。楽しむためという考えは無かったのかもしれない。

「命は食べ物にまさる」とイエスは言った。
命と食べ物を比較してどっちがまさると言えるのか。
比較することには問題がある。命とは食べ物のことであるからだ。
当時その認識はなく、今もない人は多い。
植物も動物も虫もすべて生命体であり、命である。食べ物はみな命である。すべての生き物は他の生き物を食べて生きている。人類は牛、豚、鶏、ヒツジなどの動物を大量に殺して食べている。食物とは命のことである。

イエスは人の命は他の動物の命よりまさっていると言ったが、どのようにまさっているのか。どこが、何が、まさっているのか。
仮に「シマウマの命はライオンの命よりまさっている」と言ったら、どう思うだろうか。
きちんと答えられないのは、命の意味を理解していないからと考えられる。

それ故、イエスの比較対照にあげた「からだは着物にまさる、命は食べ物にまさる」というたとえには認識に問題があると言えるだろう。
イエスは比較により、人間がまさっていることを示そうとしたが、これも人間に対する意識に大きな違いがあることを示している。

イエスは悩んではいけない理由をこう説明した。
マタイ6:26 空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。

イエスは「鳥は天の父が養っており、人間は鳥よりはるかに優れているから」と説明した。
鳥は天の父によって養われているのだろうか。ユダヤ人は天の父なる神を信じていた。今も同じように信じている人は多い。
しかし、現代の認識は、鳥が生きて行くのは遺伝子によって、そのように生きることがプログラムされているからである。すべての生命体はおなじようにプログラムにより生きているように思える。

鳥が天の父によって養われているなら、鳥が死ぬとき、それは天の父が殺すことになる。人間も鳥も死ぬ定めにあることは変わらない。天の父は命あるものをそれぞれ殺していることになる。

絶滅した種があることは天の父が絶滅させたことになる。1世紀以前に絶滅した種もあったのにイエスはそれについては触れていない。今までに絶滅した種はたくさんある。今も絶滅の恐れのある危惧種もある。

イエスは「人間は鳥よりもはるかに優れた者ではないか」、だから天の父は人間を守っていると言いたかったのだろう。しかし、全く根拠のない話で、今までに死ななかった人間はいない。

イエスは人間がはるかに優れていると言ったが、なぜ、どのように優れているのかについては触れていない。

人はなぜ悩んではいけないのか。それは悩んだところで何も解決しないし、改善しない。思い煩うのではなく、冷静に考え対処することこそ大切であるからだ。

今でも多くの人は人間が鳥や動物より優れていると思っているが、その理由については考えず、当たり前に人間は優れていると思っている。理由もわからずに、人間が優れているということには問題がある。そこにうぬぼれ、高慢さがある。人間はどこに誇る理由があるのだろうか。

それぞれの生き物にはそれぞれの意味があり、それぞれ優れている面があり、それぞれ大切に考えるべきものである。
比較してどちらが優れているかは、視点によって、置かれた立場や見方や考え方によって違ってくる。

人間は知能において他の動物より優れているように思える。しかし、他の動物よりすべての面で優れているわけではない。部分的ではあっても、動物によっては、人間より優れた知能を示しているものもある。

人間に知能があるのは人間が優れていると誇り高ぶるためではない。学習を通して誠実に謙虚になるためである。 誤りを認め、反省し、改善し、進歩するためである。自由を楽しみ、生きるためである。

こうして考えると、イエスのことばは2000年も前の認識に基づくものであり、現代の認識とは相容れないことが理解できる。



英文 Website Simple Truths by Michael Aleph